華麗なるリー一族の内紛
政治批判は御法度のシンガポールで、一番権力を持つ首相を堂々と facebook で 批判するという驚きのニュースが今、世間を騒がせています。
首相を批判しているのは、首相の実妹と実弟です。よくある兄弟喧嘩の延長かと思 いきや、そう生ぬるいものではありません。
実弟曰く、「首相である兄のシェンロンに対する信頼を失った。常に監視されている と感じており、国家機関の行使という恐れを抱いている。シンガポールを離れるつも りだ。」と、命の危険すら匂わす、現在自分の置かれている状況を 6 ページにも及 ぶ文章に纏め上げ、facebookに公開していますので穏やかではありません。
何がきっかけで、このような事態になったのか?の前に、このニュースに登場してく る(あるいは関連する)華麗なるリー一族をまとめてみます。
リー・クアンユー氏
初代シンガポール首相、建国の父。息子2人、娘1人の父。
2015 年 3 月死去
クワ・ゲオ・チュー氏
リー・クアンユー氏の妻、リー・シェンロン氏の母。息子2人、娘1人の母。
弁護士、2010年死去
リー・シェンロン氏
リー・クアンユー氏の長男、息子 3 人、娘1人の父
現シンガポール首相
ホー・チン氏
現リー・シェンロン氏夫人。息子2人の産みの母
政府系投資会社テマセク・ホールディングス元社長
SP は、テマセク・ホールディングスの 100%子会社
ウォン・ミング・ヤン氏
医師、前リー・シェンロン氏夫人。息子1人、娘1人の産みの母
1982 年死去(長男を出産 3 週間後に急死)
リー・ホンイ氏
リー・シェンロン氏の次男、産みの母は、ホー・チン氏
MIT 卒、Google 勤務後、政府技術庁政府デジタルサービスデータ科学 部副ディレクター
リー・シェンヤン氏
リー・クアンユー氏の次男、リー・シェンロン首相実弟。息子3人の父。
元シンガポール・テレコム総裁、現シンガポール民間航空局会長
リー・スエットファーン氏
リー・シェンヤン氏の妻。息子3人の母。
弁護士 リー・シェンウー氏
リー・シェンヤン氏の長男
ハーバード大学研究員 リー・ウェイリン氏
リー・クアンユー氏の長女、リー・シェンロン氏の実妹。独身。
前国立脳神経科学院理事
ことの発端は以下です。
リー・クアンユー初代首相と家族が住んだオクスリー・ロードの住宅の扱いをめ ぐり、長男のリー・シェンロン首相が、政治的野心から取り壊しを望んでいた父 親の意志に反し保存しようとしており国家権力を乱用していると、妹のリー・ウ ェイリン氏と弟のリー・シェンヤン氏が共同で声明を発表した
シェンヤン、ウェイリンの2人は、首相と首相の妻のホー・チン氏は政治的野心から住宅の保存を望んでいると主張。息子(リー・ホンイ氏)を首相にする意図 があるとしていた。 出典)AsiaX[弟と妹の主張にリー首相が反論、泥沼化の様相] https://www.asiax.biz/news/43572/
Facebookでのバトル シェンヤン氏の長男リー・シェンウー氏もフェイスブックに投稿。「シンガポール 政治へのコメントは回避してきたが、今回は例外だ。過去数年、私の家族は権 力の乱用が抑制されていないとの懸念を強めてきた。このため両親は移住と いう重大な決断に至った」と述べた。
シェンヤン氏とウェイリン氏の声明に対し、休暇で海外滞在中のシェンロン首 相はフェイスブックへの投稿で反論。「家族内の事を公にしたことに落胆した。 妻と私が息子(リー・ホンイ氏)について政治的野心を抱いているとの主張はば かげている」と真っ向から否定した。さらに「2015 年 3 月の父親の死去以降、 長男として家族内の問題解決に最大限努力してきた。2 人の声明は父親の遺 産を損なった」と述べた。
出典)AsiaX[「首相には野心」、シンガポール脱出表明の首相実弟が爆弾声明] https://www.asiax.biz/news/43564/
首相の息子ホンイ氏はフェイスブックへの投稿で「政治に関心はない」と表明 した。 出典)AsiaX[弟と妹の主張にリー首相が反論、泥沼化の様相] https://www.asiax.biz/news/43572/
あるタクシー運転手の見解
タクシーを利用した際に、一般のシンガポーリアンはこの件について、どう考え ているのか聞いてみました。その結果は、首相に対して厳しいモノでした。
3 人の兄弟は、昔から仲がいいとは言えなかった。
肉親すら制御できない人間が、一国を制御できるだろうか。
“(リーシェンロン曰く)息子は、現在政治家には興味ない”と言っているが、 これは将来はわからない(=政治家になる)と言うことだ。
兄vs弟妹のどちらの言い分が正しいのかは不明ですが、少なくとも次のことは言え るかもしれません。
“言論の自由を厳しく制限した建国の父”は、皮肉にも“言論の自由を SNS で 謳歌する兄弟の父”でもあった。
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